今月ひとりの若い女性が大学を卒業し社会に出た。それは天皇皇后両陛下の一人娘・愛子さまこと敬宮愛子内親王。

社会人として新たな公務が始まった愛子さま。あなたが使える自由と選択の幅が今後より広がり深まるように期待しながら、あなたの大学卒業と就職をどう祝福したらいいのか戸惑っている。

スタバに行って普通に並んでいても誰からもジロジロ見られない自由。愛子さま、あなたはご存じだろうか。
人々の行き交う公園で、膝に本を開いたまま、ついウトウト居眠りをする自由。社会に出たてのあなたは持てるのだろうか。

人が選択できないことのひとつは出生だ。生まれるか、生まれないか。生まれるとしたら、いつ、どこで生まれるか。どんな環境、どんな家庭に生まれるか、兄弟姉妹も誰も選ぶことはできない。出生はまさに偶然の賜物。

しかし、普通の人であれば、生まれた後の人生には多くの選択肢がある。思い通りにいかなかったとしても選択肢は必ずある。けれど、あなたはそれさえも許されない社会人1年生。

いとこにあたる女性(小室眞子さん)は「さま」から「さん」となり、様々な論議にさらされながらも、自分たちの意志で結婚を貫徹した。いとこのその選択を、あなたはどのようにとらえているのだろう。

人生における自由と選択。自分の人生でありながら、選択を許容されない人生とは、いったいどんな味わいを、感触を、その人にもたらすものなのか。

ひょっとして、他人ごととせずに変えていく責任を、私たち国民は抱えているのかもしれない。皇室典範によると、女性は天皇にはなれないという。でも、マスコミの世論調査では女性天皇を支持する声の方が多いと聞く。戦後70余年かけて、私たちはそういう社会をつくり、今日を迎えたのだ。

私も社会に出たての頃、何にでもなれそうで、でも何にもなれそうもないと感じていた。曲がりなりにも、自由を知りながら自由を十分に賢く使っている自信もなかった…。

どうかあなたが持ち得るあなた独自の力で、同世代が取り組む差別や貧困をなくす活動や環境問題に向かい合ってもらいたい。そして何よりもひとりの女性として成長してほしいと思う。今後、公務にやりがいを感じた時、あなたが新しい〝自由と選択〟を獲得するであろうことを願いながら…。