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社長のコラム 「しゃコラ」

現在を覆う過去の時間

2023-12-19
人が過去を振り返るのはどうしてなんだろう。思い出が、いとおしいのはなぜなんだろう。その問いに答えるために私たちは、日々の生活に全てを注ぎ込んでいる気がする。人が生きていくということは、記憶と共に生きていくということ。多くの思い出をまといつかせながら、私たちは現在を一生懸命生きている…。

そして日々の生活の中に過去の時間は、遠慮なく入り込んでくる。だが、ある程度年齢を重ねてくると、やがて思い出は、現在とあくまで平等になる。それは、過去の時間が現在へとあふれ出し、現在を覆い尽くして、未来へ流れていくような不思議な感覚だ。

さて、そろそろ年賀状の準備をしなくてはいけない。でも、近年では年賀状廃止(年賀状じまい)のお知らせが届くことが増えた。理由としては、自然環境意識の高まりやデジタル環境への移行を鑑みてのことらしい。多様化する価値観や時代背景からするとしょうがないこと。私もいつか年賀状じまいをする時が来るかもしれないと考えながら、今年も準備に入る。

毎年、昔の年賀状(自分が出した)のファイルを見ながら過去を振り返るのが、私のこの時期の決まり事。大げさかもしれないけど、血肉の通った私の歩んできた生き様までもが見通せるので、人生の不如意、夫婦の機微、世の矛盾と理不尽とともに、生きていくことはいかなることかを考えさせられるのだ。

それらは過去の思い出と混ざり合い、まるで自分の現在の時間そのもののように感じられる。その時、私は「なぜ過去を振り返るのだろう」という問いかけへの答えを、自分自身で手にしていることを思い知るのだ。

現在は常に進行している。終わらない。そう、現在を終わらせないのだ。だから過去を死んだものにはしない。いや、死んだものにしてもらっては困る!笑

年月を経て、改めて現在を覆う過去の時間と向き合ってみれば、結局、過去の失敗だと思っていた事が、発見や、学びだったことに気づかされる…。
 
これこそが少々遠回りして、時間をかけて人生を歩んできた私が思う現在なのだ。

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