最近、巷でよく見聞きするようになった“多様性”というキーワード。
生きにくさを抱える人を認めようというこの動き。でも、そういったカテゴライズや最近の流れにちょっと居心地悪さを感じている人も多いんじゃないだろうか。表面的な共感で取り繕うやさしさほど、実は人を傷つけてしまうこともあると思う。

これって人とのコミュニケーションで忘れがちなことかもしれない。その人の心の奥底まで知らないのに、「わかる～!」と共感してしまったり、こちらの価値観で“普通”や“個性的”と何気なく口に出していることはないだろうか。

「わかる～!」と共感してしまうのは簡単だけれど、それって、実は無責任な反応。私が偏屈なのかもしれないが、何がわかるのかな?と思ってしまう。表面的なお付き合いならそれでいいのかもしれないが、人付き合いでは、そんな曖昧な共感の言葉は、必要ない。それよりもいろんな人がいて、いろんな生き方や考え方があることを知っておくだけで十分だと思う。

でもだからといって、いろんな人がいるから何でもありの世の中では、秩序が保たれない。そのために法律があって、人と接する時にはお作法や礼儀があるんだと思う。

こんなこと言うと、ものすごく自分の意見がある熱い人間と思われてしまうかもしれないけど、本来は、のんびり屋で自分の正義を語ったり、人のことを斬ったりするのは苦手な人間。小さい頃から口下手だったので、その場で自分の意見を言うのも好きではなかった。だから、求められない日常ではそういう思考はない。

でも、なぜかコラムに書こうとすると、どうしてもくどくなったり、人と違う事を意識したり、少し人格が変わってしまうのだ…。ネット人格！これも立派な多様性!?笑

誰もが自分の生まれついた感覚知覚、認知特性、育った文化環境という色眼鏡を通して世界を見ている。今どきの気遣い事情として“多様性”は避けては通れない。

だが〝多様性〟と簡単に言えないほど、人ってもっと複雑なんじゃないだろうか…。