言葉がなければ人は生きられない
2017-07-24
年に何度か、言葉にカラダを射抜かれる。それは誰かの話だったり、映画や小説で出会ったり、歌詞だったり。胸のあたりをスパンと狙い撃たれると、驚きのようなうれしさのような感情が広がり、なぜか少し切なくもなる。
「僕を変えた奥さんじゃないですか」
4年前に父・市川團十郎さんを亡くし、今度は愛妻・小林麻央さんを失った市川海老蔵が、それを報告する会見で声を振り絞って語った言葉。2人の忘れ形見を残しての妻の若すぎる死。かつてやんちゃだった彼が愛し抜いた万感の思いが込められている。
妻を失った彼が流した涙は、あまりにも過酷な運命に対して人間が逆らうには無力すぎる、という悲しみに対する絶望感だったのではないだろうか。
今後の彼には自身の役者としての精進と、娘の健やかな成長と息子を立派な役者に育て上げるという大切な使命が託されている。だが、まだ娘と息子は幼い。突きつけられた現実は、そう簡単にはいかない。これから先、思い悩んだ時には、どうか愛妻の残した言葉を思い出してほしい。
「なりたい自分になる」と題した小林麻央さんのブログに綴られた言葉を読むと、いまでも心を揺さぶられる。末期がんという現実の中で最悪のことを意識しないはずはない。それでも彼女は前向きで明るかった。それは、治療の先の「奇跡」を信じていたからだ。どんな末期がんでも、きっと直すことができるはずた、と…。
そこまで頑張れたのも、何より市川海老蔵がひとりの夫として常に前向きに言葉で、妻を日々勇気づけていたからに外ならない。
人がほんとうに自分が死ぬか生きるかのクライシスになった時に求めるのは、お金でもモノでもなくて、本当の言葉でしょ。言葉がなければ人は生きられない。
彼の悲痛なまでの新たな決意「これからも共に生きる」という言葉が、何とも切ない…。






