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2016年バックナンバー

次はもうちょっとゆっくり来んさい、オバマさん!

2016-11-26
今年の5月27日、バラク・オバマ米大統領は現職大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、原爆ドームの前で演説。私は今年を象徴するニュースのひとつだと思う。
 
「71年前の雲一つない朝、死が空から降りてきた・・・」印象深いこの言葉で始まるオバマ大統領のスピーチは、世界中の人々の記憶に残るものとなった。
 
原爆投下の「あの日」から71年、広島の街は見事に復興を遂げた。その象徴は「広電」「お好み焼き」そして「広島カープ」。
 
被爆後「今後75年は草木も生えないだろう」といわれた広島。驚くほど早い復興を可能にしたのは、被爆3日後に‘一番電車’を運行して交通網を回復させ市民に希望を与えた「広電」と、食べるものがなかった戦後の庶民の胃袋を安価で満たした「お好み焼き」。そして娯楽が少なく貧しい時代に‘生きる希望’を与えた「広島カープ」だったのだ。
 
そのカープが今年25年ぶりに悲願のリーグ優勝を達成し、広島の街は大歓喜。今月3日に行われた優勝パレードを様々な人々が行き交う原爆資料館の前で見ていた時、改めて今の時代が平和であることを実感した。爆心地からわずか数百m、71年前には「地獄」と化したその場所にはその日、平和そのものの光景が広がっていたからだ。
 
パレードが始まるのを今か今かと待っていた時、地元の歴史研究家であり被爆者でもある森重昭さんをオバマ大統領が抱擁した場面をふと思いだした。あの場面を目にして、何とも言えない感情を抱いた人も多かったはず。
 
今、こうしてあの日を振り返ってみても、まさに歴史的な一日だったという思いがこみ上げてくる。焦土から緑あふれる平和都市へ復興を遂げた‘広島の魂’に触れたオバマ大統領。「世界は本当に変えられるのでしょうか」の問いに、「私たち一人ひとりが世界を変える能力を持っています」と答える。まったく同感だ。ひとり一人の心はかたくなだ。あきらめず、誠実に伝えようとするオバマ大統領の静かな語り口に心打たれた。
 
そのオバマ大統領が自ら折って残した「4羽の折り鶴」が、新たな平和の象徴にもなっていると聞く。だがそんなオバマ大統領の任期も残すところあとわずか。年が明ければ大統領も‘ただの人’・・・。その‘ただのオバマさん’が、なるべく早く広島を再訪することを期待したい。
 
「次はもうちょっとゆっくり来んさい、オバマさん!」
広島原爆資料館
広島原爆資料館の前でパレードを待つ人々
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