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社長のコラム 「しゃコラ」

ロックは夢

2006-03-01
何がつらいといって、至福の夢から目覚めたときほどつらいものはない。経験ある人にはわかると思うけど、もう一度眠ってしまわずにはいられないほどせつない・・・。
 
10代のころにロックミュージックと出会ってからの私は、ロックをそんな夢のようなものだと思っている。私にとってロックとは、一日24時間の生活の中でほんの一時に見る限りなくリアルな夢であって、それ以上の何モノでもない。ロックの素晴らしいところは、夢のくせにやけにリアルなところなのだ。だからこそ醒めた後がつらいのだ。
 
先日ひさしぶりにタワーレコードでCDを買った。今話題のジェイムス・ブラントのファーストアルバム「バック・トゥ・ベッドラム」だ。
シンプルな楽器構成、耳に残るメロディと控えめなアレンジ、そしてこの声・・・、これはいいぞっ!ちょうどソフィー・セルマーニの男性版とでもいうか、デビューの感じがよく似ている。どちらもたいしたプロモーションもしないでヨーロッパ全土で売れに売れた。
 
アルバム全体が強いメッセージを放ち、今はやりの音ではないが、どの曲も実に味わい深く、目の前に広がるさまざまな景色を連想させる。
オープニング曲の「ハイ」から、大ヒット曲「ユア・ビューティフル」にかけて漂うドラマチックなストーリーは麻痺した現実認識と淡い夢とが同居してしまうことへのはがゆさが、生むものであろう。夢を忘れることのできないこのはがゆさは、何が何でも信用できる。「グッバイ・マイ・ラバー」から「ティアーズ・アンド・レイン」、ここにはもう夢を見ることへの確信犯的なまでの思い込みがある。「ソー・ロング・ジミ-」で現実に引き戻され、「ビリー」では頭の中で時を追体験する。そしてNATOの軍人であったという変わった経歴を持つブラントの実体験が、表現欲求となって現れた「クライ」「ノー・ブレイヴリー」へと続いていく・・・。
 
高校生の頃「いつまでも夢見とったらいかん」と、担任の先生に言われたことがある。
とんでもなく美しい夢をリアルに体験してしまったがために、現実に期待してしまうことはそんなに無意味な事なのだろうか・・・。そんなはずはない。どんな夢でも”いつか来たるべき明日”であっていいはずだ。
 
私はロックで夢を見る。ずっとこのままでいたいとすら思う美しい夢だ。でもステレオの前から一歩離れれば殺伐とした現実が待っている。
見た夢が美しければ美しいほど現実への期待は大きくなる。それで、美しい夢を体験してしまった私は、夢とは違う現実にため息をつきながらも青い空を見上げながら、毎日頑張るのだ。
 
私は、これからもずっと夢を見続ける。そして、その夢は正しいと信じている。
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