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社長のコラム 「しゃコラ」

銃が手作りできる時代

2022-07-28
直接お会いしたこともなければ、特に演説に出向いたこともなく、私にとってはテレビの人という感覚だったはずなのに、いまだにモヤモヤがおさまらない。

多くの人の視線が集まる前で、2発の銃声が現場にこだました。白昼に突如起きた惨劇。現職の国会議員で元首相が銃撃されるというこの国の出来事とは思えない大事件を引き起こしたのは、41歳の男だった。男は静かに元首相の背後に近づき、躊躇なく手製の銃の引き金を引いたのだ。

こうした事件が起きると「なぜ、今、こんなことが起きたのか?」という問いに関心が向き、社会の在り方などに理由を求めようとしがちだが、私はもっと幅広く問題を捉え、考える必要があると思う。
認めたくないことではあるが、人間は危険な存在だ。いつの時代も暴力を振るう一面のある生き物。暴動も起こせば、戦争も繰り返す。殺人事件や放火事件もなくならない。タイプは違っても絶えずテロのようなことは世界中で起きてるし、いつでもどこでも起こりえるということだ。社会の在り方に原因を求めて考えることも必要だけど、それだけでは説明がつかないことが世の中にはたくさんある。

今回の事件を受けて「まさかこんなことが…」と驚く人もいるけど、私はそうは思わなかった。事件が特別な出来事だと考え、細かな理由を追求し続けると、かえって本質が見えなくなってしまう。確かにこの事件に宗教が全く関係ないとは思わない。ただ、宗教の部分だけを切り取って話すこともできないと思う。

次第に事件の背後にあるものが明らかになってきたが、犯人の男の認識は筋違いも甚だしく、事件が男の誤った動機による悲劇だったことを改めて思い知らされる。たとえ男が宗教法人に対して個人的な恨みを抱いていたとしても、銃撃は許されざる犯罪だ。正当化できるはずがないし、ましてや同情の余地などない。

誰もが「幸せになりたい」「人を愛し、自分も愛されたい」と願い、小さい頃から「人には優しく、正直に」と教えられてきたにもかかわらず、なぜこんなにも現代社会では「本人以外では理解不能な怒り」があふれ出してくるのだろう。この事件はある意味、そんな現代社会の〝負の側面〟が表れた事件といえるかもしれない。次にどんな事件が起きるかは、まったく予測不可能。まさに現代社会の映し鏡のような出来事に思えてならない。

閉塞感が漂う今のニッポンでは、こうした犯罪は今後、ますます増えていくだろう。
ひょっとしたら、あなたの周りでも、息をひそめて銃を作っている人がいるかもしれない…。


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